学会事務局より

学会声明「日本学術会議法案に反対する」

2025年6月7日に開催された日本社会教育学会第1回全国理事会の議を経て、以下の声明を発出します。

 

日本学術会議法案に反対する

2025年6月7日

日本社会教育学会 

 

日本社会教育学会は、2025年4月29日に「日本学術会議法案に反対し、同法案の抜本的修正を求める日本学術会議第194回総会の決議を支持する」という常任理事会声明を発出した。

その後、5月9日に担当相から「特定のイデオロギーとか党派的な発言を繰り返す会員は、この法案のなかで今度は学術会議が解任ができる」との発言があり、また「不透明な資金提供を受けるなど公正性に問題があるような人物がまず会員にならないよう適切に対応されるものと考えております」との言及もあった。本学会は、学術研究団体としてこの発言を容認することはできない。

それは第一に、学術会議の自治に関する事柄について、担当相が内容に踏み込みつつ排除・解任基準を示したことは、学問の自由が要請する高度な自治の世界に外部から学術以外の評価尺度を持ち込むことを意味するからである。

第二に、学術会議を含む学術研究団体は、研究倫理の遵守を前提としつつ客観的な事実に基づく学術的達成を尺度として研究を評価するのであり、イデオロギーやオピニオンを評価基準とすることはないからである。それにもかかわらず、このような解任要件を示すことは、日本学術会議法案が、科学的研究の成果を特定のイデオロギーに基づくと断じ当該研究者を排除する可能性を開くことを意味する。

第三に、「特定のイデオロギー」は曖昧な概念であり、また「公正性」についても拡大解釈が可能な表現となっているからである。その意味するところを明確にしなければ、厳密な議論は成立しない。しかるに2020年10月1日に任命されなかった6名の任命拒否理由が明らかにされていないため、それらの研究者の政府・政策の批判を「特定のイデオロギー」に基づく活動と評して排除したとの疑念は未だに払拭できない。この疑念の払拭は審議の前提である。したがって現状では日本学術会議法案についても、そのような不当な解釈・評価に基づく運用が想定されていると推測せざるを得ない。

以上の理由に基づき、本学会は学問の自由を守る立場から、引き続き日本学術会議法案に反対する。

以上