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2021年12月の記事一覧

日本社会教育学会年報第 66 集『高齢社会と社会教育』(仮題)原稿募集のお知らせ

日本社会教育学会年報第 66 集『高齢社会と社会教育』(仮題)原稿募集のお知らせ


 日本社会教育学会では、1999年に年報『高齢社会における社会教育の課題』(1999年)を刊行したが、それから20年余が経過するなかで、当時とは異なる、高齢者や高齢者教育をめぐる情勢の変化が招来してきている。現在日本では、65歳以上の者の比率は29.1%(75歳以上15.0%)となり、逆に14歳以下の者の比率は11.8%と、少子化と連動した社会の超高齢化が進行している。団塊世代が後期高齢期を迎える、いわゆる2025年問題も間近に控え、介護や年金の問題も顕在化してきている。

 他方で、公民館や放送大学などの社会教育・生涯学習実践の現場においても、多くの高齢学習者が参入していることがうかがえる。高齢者自身が運営する高齢者大学やNPOも誕生してきている。しかしこうした動向に呼応した社会教育あるいは高齢者学習支援のあり方は、まだ必ずしも十分に議論がなされているとはいえないようである。

 これら一連の、高齢者をめぐる社会情勢の変化と社会教育実践現場での参加者層の変化に対応した学習支援の方途を探ることは、本学会における今日的かつ喫緊の研究課題だと考えられる。本年報は、以下の構成案に掲げる4つの柱を軸に、こうした社会の超高齢化のなかでの社会教育の果たす役割を再確認することをねらいとするものである。

 本学会では、2018年10月から3年間かけて、プロジェクト研究「高齢社会と社会教育」を進めてきたが、他方で、本プロジェクト研究では取り上げられなかった重要な視点や課題も少なくない。本プロジェクト研究の成果をひとつの柱としつつも、新たな知見や研究・実践の成果をも盛り込んでいきたい。会員の皆様からの積極的かつ挑戦的な投稿を期待したい。

 

●構成(案)

第1部 高齢社会における社会教育の課題

 現在進行中の日本社会の超高齢化がかかえる特徴と課題、およびそれらに対して社会教育がいかに貢献しうるのか、あるいは社会教育固有の課題は何かについて整理していく。ここでは少子化問題や後期高齢期問題をも射程に入れる。とくにここ20年くらいの間の社会の変化における、高齢者と社会教育の問題を焦点化する。

〈キーワード・テーマ例〉「超高齢化・少子化時代における社会教育」「高齢化の国際的動向」「高齢者の就労」「高齢期家族」「中山間地域における高齢者と社会教育」「高齢社会における地域自治」「高齢者に対する教育福祉」 など

 

第2部 高齢者の学習・教育をとらえる視点

 社会の超高齢化の動向を念頭におきつつ、それと連動した高齢者学習支援や高齢者教育をとらえる、理論的視点を主に検討していく。高齢者教育の歴史的背景の研究や高齢者観の比較研究、高齢者の学習者特性、教育福祉論・教育老年学・社会老年学・生涯発達心理学などの研究領域からの知見との関連も検討していく。

〈キーワード・テーマ例〉「高齢者教育の歴史」「海外の高齢者教育」「高齢者学習支援の理論」「ライフヒストリーと経験知」「社会老年学領域の知見」 など

 

第3部 高齢者学習支援実践の展開

高齢者学習支援あるいは高齢者にかかわる社会教育実践から得られた知見や課題を明らかにし、高齢者に対する社会教育のあり方を探る。ここではとくに、高齢者が社会教育と直接かかわる部分や学習過程・プログラムなどを焦点化する。また高齢者学習支援に関する量的・質的な調査研究や実践分析の成果などをも念頭におく。

〈キーワード・テーマ例〉「高齢者大学の受講者」「高齢者がささえるNPO」「死への準備教育」「シニア・ボランティア」「回想法・自分史学習」「高等教育機関のシニア学生」「園芸療法」 など

 

第4部 社会の高齢化をささえる社会教育の条件整備論

 ここでは第3部の高齢者学習支援実践をささえる、社会教育などの側の外在的な条件整備のあり方を取り上げる。高齢者学習支援実践を間接的にささえる制度設計や組織運営、社会教育職員の力量形成、学校教育におけるエイジング教育などの問題を念頭におく。

〈キーワード・テーマ例〉「認知症高齢者の社会参加」「高齢者大学運営上の課題」「第三期の大学のネットワーク」「高齢者学習支援の職員養成プログラム」「学校教育におけるエイジング教育」 など

 

●原稿募集に関して

①エントリー・応募要旨の提出

※本年報からエントリーおよび応募要旨は学会 HP電子投稿システムから提出していただきます。

〈応募要旨〉論文題名、要旨(章立て案を除き 2,500字以内)、章立て案。

・受付期間:2021 年 12 月 25日(土)〜 2021年 2 月1日(火)23 時 59 分。

・提出先:本学会サイト「『学会年報第 66 集』エントリーシステム」(会員ログインすると表示されます)。

・提出された応募要旨をもとに編集委員会で審査を行います。応募要旨には、執筆者が特定できる記載はしないでください。

・投稿資格は、2021 年度までの会費を納めている方です。

・エントリー受付後、受領メールが自動配信されます。メールが届かない場合は、「迷惑メールフォルダ」に振り分けられていないかご確認ください。受領メールが届かなかった際は年報事務局(nenpo66@gmail.com)にご連絡ください(※本メールは提出先ではありませんのでご注意ください)。

 

②採否の通知について

・採否の結果は、2 月下旬までに応募者に連絡します。採択された方には執筆要綱をお送りします。

 

③原稿送付

・原稿字数は 12,000 字以内 ( 図、表を含む )。公募原稿は日本語のみとする。

・締切:2022 年 5 月 6 日 (金)。

・要旨が採択されても、完成原稿の査読結果によっては、修正を求められることや掲載されないこともあります。

・掲載後、公募論文については、要望があれば査読証明を発行します。

 

(年報第 66 集編集委員会)

第7回ユネスコ国際成人教育会議にむけたナショナルミーティングのご案内

本学会が企画協力をしているプログラムのご案内です。

来年6月の第7回ユネスコ国際成人教育会議の開催に先立ちまして、以下のプログラムが
認定NPO法人開発教育協会(DEAR)により、予定されております。
会員資格問わずにどなたでも参加申し込みができますので、ご関心のある方はご参加ください。

なお、本プログラムの詳細については、添付のチラシ(ale_flyer_1210.pdf)も併せて参照ください。

ーーーー以下、開催案内ーーーーーーーー
人の一生のほとんどは「成人期」であるのにもかかわらず、今の社会では、おと
なの学び(成人教育)の機会は重視されているとは言えません。

社会での意思決定に対して、明らかに力を持つおとなたちが学び続けなけれ
ば、よりよい社会をつくることはできません。改めて、おとな・ユースの学びに
ついて、一緒に考えるため、本会合を開催します。

開催概要
----------------------------------
「社会教育・成人教育の課題と展望〜おとな・ユースの学びを取り残さない」
(第7回ユネスコ国際成人教育会議にむけた ナショナルミーティング)
http://www.dear.or.jp/event/8382/
----------------------------------
▼日時
2022年2月5日(土)13:00-17:00

▼対象
社会教育実践者・研究者、NGO/NPO関係者、テーマに関心のある方 

▼定員:100名程度(先着順・要事前申し込み)

▼会場
オンラインにて開催(zoom) 
※参加をご希望される方に、後日URLをご案内します。

▼参加費
無料

▼プログラム
全体会では、国内の有識者に社会教育・成人教育の現状課題と展望を提起してい
ただきます。分科会では、「2015年勧告」における三つの重点領域である 
「アクティブ・シティズンシップスキル」「識字・基礎スキル」「継続教育・職
業スキル」に分かれて議論します。

1. 全体会 13:00-14:30
「社会教育・成人教育の課題と展望〜おとな・若者の学びを取り残さない」
ユネスコ国際成人教育会議の概要や、国内の社会教育・成人教育の現状課題と展
望を有識者から提起していただきます。

司会:片岡麻里(ガールスカウト日本連盟)
あいさつ: 青柳茂(ユネスコ・アジア太平洋地域教育事務所 所長)
パネリスト:
・文部科学省(調整中)
・上野景三(日本社会教育学会会長/西九州大学)
・岡田敏之(基礎教育保障学会会長/同志社大学)
・近藤牧子(DEAR副代表理事)

2. 分科会 14:40-16:40(選択制)
▼第1分科会: アクティブ・シティズンシップを育む教育とは
地域の社会教育やNGOによる市民性や市民参加を培う教育活動について考えま
す。<アクティブ・シティズンシップスキル>

司会:近藤牧子
発表者:
・的野信一(板橋区教育委員会)
・宮城潤(那覇市若狭公民館 館長)
・内田聖子(アジア太平洋資料センター共同代表)

▼第2分科会:識字教育・基礎教育の実践から
国内外での識字教育や基礎教育について、夜間中学などの実践から教育保障につ
いて考えます。<識字・基礎スキル>

司会:大安喜一(ユネスコ・アジア文化センター)
発表者:
・工藤慶一(北海道に夜間中学をつくる会共同代表)
・菅原智恵美(日之出よみかき教室(木)、識字・日本語センター)
・小荒井理恵(教育協力NGOネットワーク)

▼第3分科会:エンパワメントのための職業教育
資格や職業技術獲得のための教育や研修に留まらない、ライフスキルとしての職
業教育、女性のエンパワメントなどについて考えます。<継続教育・専門性発展
(職業スキル)>

司会:中村絵乃(DEAR)
発表者:
・文部科学省(調整中)
・正井禮子(認定NPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべこ)
・三宅隆史(シャンティ国際ボランティア会)

3. 全体会 16:40-17:00
各コーディネーターからの報告とまとめ
進行:近藤牧子

▼申込方法
http://www.dear.or.jp/event/8382/
※1月25日(火)締切

▼背景
2022年6月にモロッコで第7回ユネスコ国際成人教育会議が開催予定です。これ
は、12年に一度開催される、成人教育に関する貴重な国際会議となります。これ
までの会議の成果文書では、全ての人に対して個人をエンパワーする学習保障
と、持続可能な社会構築を推進するための理念や具体策が記されてきました。

また、2015年の国連総会で採択されたSDGsの教育目標である、SDGsの目標4(質
の高い教育を全ての人に)達成において、成人教育の推進は不可欠です。しか
し、世界でも日本でも教育施策における成人教育への比重は決して高いとは言え
ません。

本イベントでは、第7回会議に向けて、日本の成人教育への関心喚起を目的と
し、第7回会議の趣旨や、その鍵となる2015年にユネスコ総会採択された、「成
人学習・教育に関する勧告(通称:2015年勧告)」の理解共有を図ります。

▼主催
認定NPO法人開発教育協会(DEAR)

▼協力
基礎教育保障学会、日本社会教育学会 、教育協力NGOネットワーク(JNNE)

▼後援
公益社団法人日本ユネスコ協会連盟

▼助成
独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金

▼本件に関するお問い合わせ
開発教育協会(DEAR)
事務局担当:伊藤 E-mail: yito◎dear.or.jp ※◎を@に変更
※在宅勤務を行っています。