倫理宣言

日本社会教育学会倫理宣言


本学会は、第59回研究大会総会において、

社会教育の理論・実践の研究を通じて自由・平等・民主主義の実現をめざし人間の幸福と社会の福祉に学術的に貢献することが、学会および学会員の責務であること、

それゆえ、真理の追求、人間の尊厳および基本的人権の尊重が、研究をはじめとするすべての学会活動の基盤となること、

とりわけ、不正な目的、方法による研究は学問的真理への道を閉ざすものであり、権威や権力の濫用は学問の自由な発展とは相容れないものであること、

したがって、不正な研究や差別・ハラスメントの防止に努めることが学会および学会員の倫理的義務であることを、改めて確認し、

第54回研究大会総会で採択された「学会活動の倫理に関する申し合わせ」を発展的に改定し、

学会および学会員が、研究ならびに学会活動において、以下の原則を遵守することを宣言する。

 

1.研究活動に関する倫理と基本原則

研究は、その水準の向上のために、常にオリジナリティと客観性、公正性をめざして、正直、誠実に行われなければならない。情報、データの管理は責任を持って行い、調査結果の捏造、改ざん、論文の盗作はあってはならない。

研究が情報提供者を得て行われる場合には、研究の対象者、協力者に対し、研究の意義、目的、方法、予想される結果、対象者の負担などを十分説明した上で、自由意志による同意と参加を得るとともに、福利、権利、プライバシーに配慮し、これを保護する。

会員の成果を建設的かつ正当に取り扱うとともに、真摯な態度で意見を交え、会員の名誉や知的財産権を尊重する。

公の研究費を利用する場合には、法令や規則を遵守する。

 

2.安全かつ公正で対等な関係による学会活動

全ての会員は、安全かつ公正で対等な関係による学会活動に従事する権利を有する。

人種、民族、国籍、性、年齢、障がい、身体的特徴、思想、宗教、地位(婚姻上の地位を含む)、その他あらゆる形態の差別は、これを認めない。

学会の役職上の関係、研究上の立場や指導関係、その他の社会関係を利用して、他の学会員に対する不当な取り扱い、セクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントをしてはならない。

 

3.学会の取り組み

自由で公正・平等な学会運営を目ざす本学会は、差別やハラスメントを許さない。そのために以下の取り組みを行う。

(1)研究環境の悪化が研究の活性化を妨げるだけでなく倫理的な問題の原因となることを考慮し、大学などの研究機関および実践・研修機関など社会教育研究者・実践者にとってのあらゆる環境の改善に努力する。

(2)差別・ハラスメントの撤廃・禁止に向けた意識向上・防止のための取り組みを行う。

(3)差別・ハラスメントの当事者への対応および、二次加害・二次被害を防止するために必要な対応については規定によって定める。

(2012年10月7日、日本社会教育学会第59回研究大会会員総会にて採択)

 

〈注〉

(1)学会活動とは、学会への入会・退会、学会出版物の執筆・編集・発行、大会・研究会・委員会への参加とその運営、学会員以外の人を対象とした活動(調査研究活動、公開シンポジウムの開催、刊行物の発刊など)を指す。

(2)本宣言においてハラスメントとは、相手の望まない性的な、または不当な言動によって、人格を傷つけたり、研究活動に不利益を与えたり、屈辱や精神的苦痛を感じさせたりすることにより相手の尊厳を損なう一切の行為を指す。

(3)本宣言において二次被害とは、学会内外での差別・ハラスメント、およびそれに起因して生じる差別・ハラスメント(二次加害)によって、被害が継続したり、学会活動に従事する権利が著しく侵害され円滑な学会活動が妨げられたりするような影響全般を指す。例えば、接触恐怖、報復やイヤがらせなどへの心配・不安・恐怖、そこからくる心身への影響や学会活動遂行上の不利益などがある。

 

《ダウンロード》

日本社会教育学会倫理宣言(PDF)