倫理宣言作成の経緯

倫理宣言作成の経緯(「 倫理宣言作成過程における主な論点とそのやりとり 」 を含む)

 


倫理宣言作成の経緯 】


1.本宣言は、「学会活動の倫理に関する申し合わせ( 2007 年)」(以下、「申し合わせ」)の主旨を基本的に踏襲するものである。

2.「申し合わせ」は、データの捏造、改ざん、業績の盗用、公の研究費の使い込みなど科学研究に於ける不正行為が摘発され、研究者および研究業績に対する社会的信頼が低下していること、また情報の出所やインターネットの扱い方に関する議論が起きていることから、本学会員が学会活動における倫理を実現する努力をしていることを学会内外に明らかにするために作成された。 加えて、研究・教育機関において、セクシュアル ・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントの禁止が一般的になって来ており、研究者の横断的な組織である学会としても立場を明らかにしておく必要も踏まえて作成された。

3.その後、学会員によるハラスメントに関する相談、二次被害防止を求める訴え、学会員間のハラスメントに関連する相談などが寄せられ、学会として、これらを受けとめる必要性が生じてきた。

4.そこで、ハラスメントを認めない本学会の姿勢をより明確に打ち出すとともに、学会がハラスメント防止に積極的に取り組み、個別の問題に対しても必要な対応・対処を行う旨を「申し合わせ」に加筆し、学会内外 に広く周知すべく「日本社会教育学会倫理宣言」として発表することとなった。

(日本社会教育学会総会資料、作成: ハラスメント WG 、 2012 年 6 月 2 日)

 

 

倫理宣言作成過程における主な論点とそのやりとり 】

 

意見1)「申し合わせ」ではなく、「宣言」としたことの意図は何か。

(回答)「宣言」とすることにより、「申し合わせ」よりも学会員に対して遵守を強く求める学会の意思を示すことを意図している。

 

意見2)学会員に対する遵守を求めるのであれば、「宣言」よりも「規程」の方がよいのではないか。 特に、学会員への対処・対応など学会内に向けた内容は、主に学会外へのアピールを盛り込む「宣言」としてそぐわないのではないか。

(回答)「宣言」は、学会外へのアピールであると同時に学会内にも向けて発信するものと考えている。研究倫理や差別・ハラスメントに対する本学会の態度表明という意味で、まずは「宣言」を作成し、具体的な対処や対応については別途「規程」を策定することとしたい。

 

(意見3)「厳正に対処」「必要な対応」の具体的な方法・方策についても一定程度「宣言」に明記する必要があるのではないか(相談体制・相談窓口の 明記など)。被害を受けた時や相談したいと思った時に、どこにアクセスすればよいのか、これではよくわからない。

(回答)上述のように「宣言」は、学会としての態度表明を行うものとの位置づけであることから、対処・対応方法の具体的な文言は、「宣言」ではなく「規程」に記したい。

 

(意見4)「厳正に対処」という表現は強すぎるのではないか。「処分」というようなニュアンスにも受けとれる。また「厳正に対処」する覚悟が学会にあるのか。

(回答)研究倫理、差別、ハラスメントに対して厳しい姿勢で臨むという姿勢を明らかに打ち出すために 本宣言を作成するのであるから、「厳正に対処する」の文言は学会の決意・覚悟を表明するものとして重要であると考える。なお、ここでいう「厳正に対処」は、学会が個々の会員としての権利を剥奪するというような「処分」を必ずしも意味してはいない。

 

(その他の意見)

〇問題が起こる前の状況の改善や「早期発見」など日常的な人間関係を改善してゆくことが大切ではないか。

〇すべての人が「当事者」であるという認識を持つことが必要ではないか。

〇ハラスメントは必ずしも職階・地位の「上下関係」のなかだけで起こるものではない。

(作成:ハラスメントWG 、 2012 年 6 月)

 

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