プロジェクト研究

プロジェクト研究について

年報第 67集『SDGsと社会教育・生涯学習』(仮題)の原稿募集について

日本社会教育学会 関係各位

 日本社会教育学会では、2015 年に年報『社会教育としてのESD-持続可能な地域をつくる』 を刊行した。その後2016年からは「国連・持続可能な開発目標(以下 SDGs)」が開始され、世代間公正や世代内公正を基本理念としながらその実現に向けた教育が強調されている。SDGsは国連ESDの10年(2005-14)の時期よりも一層、社会・経済・環境の持続可能性が重視されるようになっていて、ジェンダー平等、格差・貧困問題の解決、生産・消費の問題、地球温暖化の問題など解決すべき問題領域は幅広い。すでに、ESDの10年の頃より、開発教育・環境教育・高等教育分野との接続が意識されてきたが、SDGsの概念提起によって、まちづくり分野、福祉分野、産業分野などの研究分野においても社会教育・生涯学習の重要性が意識されるようになってきている。

 一方で、2018年には文科省の生涯学習政策局は総合教育政策局へと改編されるなど、公的社会教育の基盤整備という点では依然として問題が多い。SDGsの達成には、その本質を理解した上で、複数のステークホルダーの利害関係を乗り越え、その目標を達成できる担い手のエンパワーメントや、市民社会組織の育成が不可欠となる。SDGsというグローバルかつローカルな公共性・公益性を有する課題に取り組み、従来の社会教育・生涯学習の枠を超えて学習活動を組織することは、今後の社会教育・生涯学習の展開にとって大変重要なことであると考えられる。

 本学会では、2019 年 10 月から3年間かけて、 プロジェクト研究「SDGsと社会教育・生涯学習」を進めてきた。この期間のほとんどがコロナ禍に重なり実践活動、研究活動に制約があるなかでも、SDGsと社会教育の実践と研究は進展していて、次のような課題が明らかになった。第一に、SDG4(教育)としての社会教育実践のあり方が問われ、それぞれ社会教育・生涯学習実践がどのようにSDにつながっているのかが明らかにされてきた。第二に、個別のゴールを追求してきた団体、個人がSDGsの理解を深めるなかでそれらの実践や学習活動を広げて深化させてきた。第三に、ゴールの複数を総合化してSDを達成していくための学習や実践のあり方やしくみを問うてきた。

 本年報は、以下の構成案に掲げる4つの柱を軸に、SDGsとの関連で社会教育・生涯学習が果たす役割を再確認することをねらいとするものである。年報では本プロジェクト研究の成果をひとつの柱としつつも、SDGsと社会教育・生涯学習研究及び実践との関係性が明確化されるような知見や研究・実践の成果を盛り込んでいきたい。会員の皆様からの積極的かつ挑戦的な投稿を期待するものである。

●構成(案)

第1部 SDGsと社会教育・生涯学習をめぐる理論的課題

 「SDGsと社会教育・生涯学習」の理論に関する広範な課題を扱う。SDからESD・SDGsに至る学習論の歴史、SDの根底にある開発論と教育学習論、社会教育・生涯学習の歴史的展開とSDGsとの関係、などがテーマとなる。

〈キーワード・テーマ例〉

「SDG4と社会教育・生涯学習」「アクティブ・シティズンシップ」「社会教育における‘誰一人取り残さない’の意義」「SDGsにおける環境教育・開発教育・社会教育」「ESD・GAP・SDGsの理念」など。

 

第2部 SDGsをめぐる学習論・組織論

 SDGs学習は、人間社会の持続可能性と地球環境の持続可能性を扱う広範な学習活動である。そのため、学習論は必然的に学習組織論を伴うことになる。地域課題と地球的課題を結びつける学習、世代間の公正を実現する学習、「誰一人取り残さない」に関する学習や組織、自己変革と社会変革を伴う学習論、学習を推進するネットワーク、SDGs学習の指導者論などがテーマとなる。

〈キーワード・テーマ例〉

「SDの概念と学習論の広がり」「グローバル課題とローカル課題をつなぐ学習」「SDGsの目標をつなぐ社会教育・生涯学習」「エンパワーメントと学習」「SDGs学習を推進するネットワーク」「SDGsコーディネーターの役割」「SDGsと社会教育士」など。

 

第3部 ESDの発展としてのSDGs学習実践

 現在行われている優れたSDGs学習は「ESDの10年」のときの学習や実践活動に起源をもつものが多い。環境教育・開発教育・福祉教育などをベースにしたESDと現在のSDGs学習との異同、SDGsの政策や実践へのインパクト、SDGs学習における公民館・CLCの役割、SDGs学習実践とNPO/市民活動、SDGs連携における大学・高等教育機関の役割、などがテーマとなる。

〈キーワード・テーマ例〉

「ESDからSDGs学習への発展」「SDGsの政策や実践へのインパクト」「‘誰一人取り残さない’学習実践」「ESD・SDGs学習と公民館・CLC」「SDGsとNPO・市民活動」「SDGs連携における大学の役割」など。

 

第4部 SDGsから見る社会教育実践の可能性

 地域づくり、福祉、ジェンダー、環境などの学習を行ってきた既存の社会教育・生涯学習実践において、SDGsの登場によりそれらの学習が深化したり相互につながっていく事例が見られる。SDGsと従来の社会教育・生涯学習が関係することで生じる、今後の社会教育・生涯学習の新たな実践や理論の可能性を論ずる。また海外でのSDGsに関わる実践事例からも学びたい。

〈キーワード・テーマ例〉

「SDGsに基づく地域づくりと公民館・CLCの役割」「SDGsにおける学校教育と社会教育の連携」「SDGsの国際的動向と日本の社会教育の課題」「海外におけるESD・SDGs学習の実践」「SDGsが求める社会教育行政と他の関連行政の連携」など。

 

●原稿募集に関して

①エントリー・応募要旨の提出

※本年報ではエントリーおよび応募要旨は学会HP 電子投稿システムから提出していただきます。

〈応募要旨〉

論文題名、希望する「部」と研究の位置付け及びキーワード、要旨(章立て案を除き2,500 字以内)、章立て案。

・受付期間:2022 年 12 月 24 日 (土)〜  2023 年 2 月3日(金)23 時 59 分

・提出先:本学会サイト「『学会年報第 67 集』エントリーシステム」(会員ログインすると表示されます)。

・提出された応募要旨をもとに編集委員会で審査を行います。応募要旨には、執筆者が特定できる記載はしないでください。

・投稿資格は、2022 年度までの会費を納めている方です。

・エントリー受付後、受領メールが自動配信されます。メールが届かない場合は、「迷惑メールフォルダ」に振り分けられていないかご確認ください。受領メールが届かなかった際は年報事務局(nenpou67◎gmail.com)にご連絡ください(※◎を@に変更。本メールは提出先ではありませんのでご注意ください)。

②採否の通知について

・採否の結果は、2 月下旬までに応募者に連絡します。採択された方には執筆要綱をお送りします。

③原稿送付

・原稿字数は 12,000 字以内 (図、表を含む)。

公募原稿は日本語のみとする。

・締切:2023年 5 月8日 (月)

・要旨が採択されても、完成原稿の査読結果によっては、修正を求められることや掲載されないこともあります。

・掲載後、公募論文については、要望があれば査読証明を発行します。

プロジェクト研究「社会教育学における余暇・レクリエーションの再検討」第1回公開研究会 開催のお知らせ

日本社会教育学会 会員各位

 

プロジェクト研究「社会教育学における余暇・レクリエーションの再検討」第1回公開研究会を開催いたします。

参加希望の方は、事前申し込みを、下記よりお願いいたします。

 

日時:2022年12月24日(土)13時00分~15時00分

形式:Zoomミーティング(お申し込み頂いた方にURLをご案内いたします)

 

テーマ:「青少年研究における余暇の諸相」

【報告1】大山宏(国立青少年教育振興機構)

「1970年代の都市青年組織と余暇」

【報告2】佐々木基裕(名古屋女子大学)

「現代思想は余暇研究にどのように影響したか?」

【報告3】執行治平(東京大学大学院)

「青少年向け居場所施設における遊び道具とコミュニケーション」

司会:歌川光一(聖路加国際大学)

研究会に関するご質問は、歌川(utagawa[アット]slcn.ac.jp)まで ([アット]を@に変更してください。

 

参加申込先:https://forms.gle/hn1Co9ai564yeEke8

申込の締め切り:12月22日(木)23時59分まで

 

研究会の直前となりましたら、ZOOMミーティングにアクセスするURLとID・パスワードをお送りいたします。

資料に関しましては、当日、ZOOMのチャットから皆さまにお渡しする予定です。

(資料に関しては、著作権や個人情報の関係でお渡しできない場合もありますこと、ご了承ください。)

日本社会教育学会年報第66集『高齢社会と社会教育』合評会のお知らせ

日本社会教育学会 会員各位

日本社会教育学会年報第66集『高齢社会と社会教育』合評会のお知らせ

 

年報『高齢社会と社会教育』の合評会を下記の要領で開催しますので連絡いたします。

日時:2022年12月26日(月)午後2時30分より(午後4時30分くらいまで)
場所:龍谷大学大宮キャンパス105演習室にて

形態:対面形式の報告と質疑などを行い、一部オンラインでの報告も受ける。口頭での発言は現地参加者・報告者・編集委員・執筆者に限定する。

それ以外のオンラインからの参加者については、チャット等での意見を受け付ける。
報告予定者
1.杉澤秀博(桜美林大学大学院老年学研究科)
2.春日彩花・権藤恭之(大阪大学大学院人間科学研究科臨床死生学・老年行動学講座)

3.森岡伸枝(大阪芸術大学短期大学部)
4.堂本雅也(大阪教育大学教育学部非常勤講師・龍谷大学大学院文学研究科研究生)
参加の応募様式(参加予定者は必ず12月22日(木)までに下記URLでの参加申し込みをお願いします。対面・オンラインの区別もお願いします)

:https://forms.gle/rxnY3JJCvdwgCqRj9

連絡先:堀 薫夫(hori◎cc.osaka-kyoiku.ac.jp) ※◎を@に変更

 

新プロジェクト研究メンバーの募集

 

会員各位

 

今年度より、新たに「多文化・多民族共生を目指す社会教育の挑戦」」をテーマとするプロジェクト研究が立ち上がります。広く会員間に開かれた研究を進めていくために、関心のある会員をプロジェクトメンバーとして公募いたします。プロジェクトメンバーは、プロジェクト研究の推進に係る6月集会、研究大会における企画準備、公開研究会の開催などの運営を中心的に担っていただきます。メンバーの選定にあたっては本プロジェクト研究提案者と研究担当理事によって地域、ジェンダー、年齢などのバランスを加味して、理事会に推薦のうえ決定いたします。

 

本プロジェクトの趣旨を踏まえ、プロジェクト研究への参加を希望する会員は、応募要領をご参照のうえ学会事務局までご応募ください。なお、現在進行中の他のプロジェクト・メンバーが、新テーマのプロジェクト・メンバーになることは認められませんので、ご注意ください。応募結果につきましては、改めて研究担当理事より連絡いたします。

 

●メンバーを公募するプロジェクト研究

 テーマ「多文化・多民族共生を目指す社会教育の挑戦」

 

【趣旨】

本プロジェクト研究の目的は、多文化・多民族共生を目指す社会教育のあり方について、理論、実践の両面から検討することにある。

 

本学会における多文化・多民族共生に関する検討は、年報『現代的人権と社会教育』(1990年)、年報『多文化・民族共生社会と生涯学習』(1995年)、年報『アイヌ民族・先住民族教育の現在』(2014年)がある。しかしながら、それ以降は、学会員個々人の研究活動に任されていた。

2000年代以降、日本においても、多文化共生関連の法整備が進み、施策が展開されている。2018年の入管法改正にも伴う外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策、ヘイトスピーチ解消法(2016年)、教育機会確保法(2016年)、日本語教育推進法(2019年)、アイヌ新法(2019年)の成立と関連施策などである。

このように、多文化・多民族共生にかかわる社会状況は変わりつつあるが、現実の問題として、多文化・多民族共生が楽観的展望を持つことはできず、危機にさらされているといえる。制度として法律の制定はみられるものの、多文化・多民族共生に対する人々の意識は依然として進んでいないといえる。

 

社会教育において、この多文化・多民族共生の課題をどう位置づけるのかは、1995年以降、いまなお課題として残されたままである。地域を土台とした社会教育が学習権保障の視点を堅持しながら、社会教育の枠組みの中に再度多文化・多民族共生のイシューを位置づけ直すことなしに、これからの日本社会を展望することはできない。

そこで、「多文化・多民族共生を目指す社会教育の挑戦」というテーマで、新プロジェクト研究を始動する。「社会教育の挑戦」とするのは、民主主義・学習権・人権という社会教育で大切にしてきた価値を、多文化・多民族共生との関係で「再発見」することが必要であると考えたためである。

また、本プロジェクト研究では、1995年の年報以来の約30年間にわたる多文化・多民族共生と関連した社会教育研究を総括し、実践を整理・分析するとともに、比較研究の視点を踏まえた諸外国の動向をも視野に入れながら、その研究の成果と課題を踏まえて、社会教育における新たな枠組みの提案を試みたい。さらに、マイノリティだけでなく、マジョリティを対象と据える視点の重要性やマイノリティ当事者からの問題提起なども位置づけたいと考える。

 

≪応募要領≫

1. メールの表題に「社会教育学会PJ研究メンバー応募」と記載してください。

2. 以下の内容について、メールの本文またはワードファイルを添付でお送りください。

 ・氏名(ふりがな)

 ・所属

 ・連絡先(メールアドレス)

 ・プロジェクトのテーマに関連する研究あるいは実践の業績(1点以上についてタイトル、

掲載誌、執筆年)

 ・プロジェクトのテーマに関連する研究関心(400字程度)

 

3. 応募締め切り  2022年11月6日(日)(必着)

4. 結果の通知   2022年11月27日(日)までに通知します。

 

5. 応募先 日本社会教育学会事務局 jssace.office◎gmail.com(◎を@に変えてください)

申請書送付の5日以内(土日祝日のぞく)に到着通知メールが届かない場合はご連絡ください。

日本社会教育学会プロジェクト研究「障害をめぐる社会教育・生涯学習」公開研究会

プロジェクト研究「障害をめぐる社会教育・生涯学習」では、「地域」「権利」「当事者」「家族」「マジョリティ」をキーワードとして3つのグループに分かれて、集約的な研究協議を行っているところです。六月集会では、「地域」を切り口にした実践の多様性を共有しました。研究大会では学びの場における「マジョリティ性」に焦点を当てるべく準備を進めております。そこで、六月集会と研究大会を橋渡しする公開研究会を行い、学びの概念を理論的に検討する場を設けることにしました。プロジェクト研究メンバーだけでなく本プロジェクト研究外の会員とも意見交流を行い、本プロジェクト研究が提起しえる学びの中味について一般性の高い議論をめざします。

 

テーマ:障害をめぐる社会教育・生涯学習が提起する学びの概念

報告1:「社会教育・生涯学習活動における知的障害者への自律支援の過程」鈴木菖(上智大学大学院)

報告2:「当事者運動との連帯をもたらす学び:英国における「Ally」概念を手掛かりとして」橋田慈子(筑波大学)

情報提供:「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法について」渡邊健一(法政大学大原社会政策研究会)

コメント1:冨永貴公(都留文科大学)

コメント2:松田弥花(広島大学)

司会:津田英二(神戸大学)

研究会に関するご質問は、津田(zda[アット]kobe-u.ac.jp)まで([アット]を@に変更してください)。

 

日時:2022年7月30日(土)10:00~13:00

場所:東洋大学を会場とするハイブリッド開催(詳細は参加申込者に後日連絡します)

https://www.toyo.ac.jp/about/access/

参加申込:以下のフォームに登録してください。オンライン参加の方には登録いただいたメールアドレスに参加方法をお知らせいたします。対面参加の場合も、会場整理の都合のためご登録をお願いします。

https://forms.gle/WeApDgDwACdzrrxC7

申込締切:7月27日(水)23時59分まで